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第1回「人・自然・生命」シンポジウム を開催しました

活動報告

 2025年3月10日(月)、横浜市開港記念会館にて第1回「人・自然・生命」シンポジウムを開催しました。「人にとって緑とは何か、なぜ花を愛でるのか」をテーマに、花や緑に関わる多彩な登壇者が話し合い、GREEN×EXPO 2027に向けた期待を語っていただきました。
 シンポジウムの様子を公式YouTubeチャンネルにアップロードしましたので、是非ご視聴ください。

第1回「人・自然・生命」シンポジウム 開催概要はこちら

シンポジウム

シンポジウム

<アーカイブ映像(ダイジェスト版)>

基調講演
パネルディスカッション

シンポジウム全編はこちらからご視聴いただけます。

<シンポジウム・レポート>
基調講演「みどりと共に生きる」

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岩槻邦男氏(東京大学名誉教授) 

 人は万物の霊長であるという言い方をするが、実は生き物としては全くの兄弟分であり、またどんなに人が偉そうに威張ってみたとしても、自分一人で生きることができない。
 「地球と自然の持続的な利用」というのがあるが、持続的な利用というのは人の計算で成り立っている。そういう計算を本当に人が賢くやれるかどうかというのは、私はあまり自信がない。それよりも、人と自然が共生することによって、結果として人と地球が、地球と自然が持続的に共に生きている状態をつくるのが、まさに「生命系」の生を維持するということにつながるのではないか。

パネルディスカッション

吉岡更紗氏(染織家) 

 染料として使われる植物は、漢方薬として機能する生薬でもあることが非常に多い。染色は寒ければ寒いほど色がきれいだと言われているが、紅花には少し血行を良くする、血圧を下げるという効果があるので、作業の後はなぜか少し手が暖かくなる。
 紅花の色素は口紅の材料でもある。色としての美しさと、植物としての生命力の高さに加えて、人間の体に何か役立つ力を植物は持っている。

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田中優子氏(法政大学前総長)

 どうしても自然界と交わるというと、森に行って散歩すればいいかな、などと思ってしまうが、花を育てるとか、切って部屋の中に持ってくるとか、花束にするとか、生け花にするとか、描くとか、いろいろなことを行っている。
 その時間が今無くなっているということが惜しい。デジタルが悪いことではないと思うし、私自身も大好きだが、自然と向き合う時間が無くなっているというところに問題がある。

望月寛子氏(農業・食品産業技術総合研究
機構健康・感覚機能グループ長補佐 ) 

 どうして花を見て、私たちは嫌なことを忘れられるか。テーブルに花が飾ってある。何の花だろう、何色だろうと、注意を引いてくれるからだと思う。デジタルの花は変化がないので、いずれ注意を引かなくなる。変化があることで花は注意を引いてくれる。それが癒し効果の大きなポイントではないか。
 デジタルと自然との融合のようなものを見てみたい。世の中が進化発展していく中、自然をどのように取り入れていくのか。技術の中で新しい自然の姿を見たい。

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井上英明氏(株式会社パーク・
コーポレーション 代表取締役) 

 デジタルに触れる時間が多くなればなるほど、若い人が花や緑を欲しているのではないか。花の本質は物ではなくて、時間であると思う。人生の一部を「花や緑のある時間」にすることを、お客さんは求めていらっしゃると感じている。
 今の都会にいると、定規とコンパスの世界で生きていると感じる。直線と丸のない、自然、花や緑が視野の中に入ってくるような環境に人の本能として身を置かなければならないのではないかと、身をもって日々感じている。

涌井史郎氏
(GREEN×EXPO ラボ チェアパーソン) 

 デジタル社会が浸透すればするほど、花や緑は我々を覚醒させ、我々を健康にしていく一番大きな道筋となるのではないか。
 ひとときの濃密さが、かつての方が遥かに濃密だった。つまり、月や花を愛でる時間が自分の人生の大多数を占めていたとしたら、ただ過ぎ去っていくだけの時間というものと、中身の濃い時間を持った人生にするというのと、どちらが豊かなのかということがいずれ問われる。
 江戸は徹底した循環型つまりサーキュラーエコノミー、シェアリングエコノミーがあっただけでなく、緑被率が高く庭園な都市であった。災害には弱いが、日常の生活は自然に恵まれて満足していた。このようなライフスタイルをこれからどう実現するかがすごく大事。

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